こうよう泌尿器科クリニック

北海道苫小牧市光洋町2丁目6-13

検査結果に関すること

「尿検査で尿潜血が陽性だった」「尿蛋白が陽性だった」

尿路感染症(膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎など)、尿路結石(腎結石、尿管結石など)、腎炎、悪性腫瘍など

 尿潜血検査は試験紙などで尿中に出血が無いか調べる方法ですが、健診などでよく行われています。尿中の出血は腎臓や膀胱などの悪性腫瘍、尿路結石、腎炎などのサインとなりますので、一度詳しく検査をする必要があります。尿蛋白も腎炎などで出現する所見ですが、発熱時や運動後の検尿では陽性に出ることもあります。

 排尿時痛や頻尿を伴う場合は尿路感染症の可能性があり、女性では膀胱炎や腎盂腎炎、男性では急性前立腺炎など尿路で炎症を起こし出血している可能性があります。いずれの場合も数日間の抗生剤による治療が必要です。

 以前に尿路結石の既往があったり、突然発症した左右の側腹部痛を伴ったりする場合は、尿管結石の可能性があります。それまで腎臓内にあった結石が突然尿管内に下降し、尿管を閉塞させることで疼痛や血尿が出現します。CTやレントゲン検査などで結石の状態を確認し、疼痛がある場合は鎮痛剤などで疼痛を抑えます。

 排尿時の疼痛や頻尿などの症状を伴わない、いわゆる無症状の血尿は膀胱癌や腎癌など悪性腫瘍の疑いがあります。CTやエコーなどで腎臓から膀胱など尿路に腫瘍がないか検査する必要があります。

 他にも、腎炎などの糸球体疾患やナットクラッカー症候群などの血管の異常、突発的な腎出血なども含まれます。

「健診エコーで腎臓に異常な影があった」「健診エコーで腎臓が腫れているといわれた」

腎細胞がん,腎盂がん、腎のう胞,水腎症など

 健診のエコーなどで腎臓に見つかる異常な影は、腎臓にできた腫瘍やのう胞、尿の通過障害で腎臓が腫れてしまう水腎症の可能性があります。

 腎臓の実質にある「尿細管」にできるのが腎細胞がんと言われ、同じく腎臓の「腎盂」にできる癌が「腎盂がん」と区別されます。腎臓がんは血尿や側腹部の疼痛を伴うなど進行した状態で発見されることが多かったのですが、近年は検診のエコーなど無症状で早期に発見されることが多くなりました。また腎盂がんは血尿が出現することが多いですが、後述する水腎症を契機に発見されることもあります。腎のう胞は、腎臓にできる液体の貯留した袋ができる状態です。多くの場合症状はなく治療の必要はありませんが、時間の経過とともに増大し腎機能障害の原因となる事があるため定期的な観察が必要です。水腎症を引き起こす通過障害の原因は尿管結石や尿管がん、尿管の狭窄などがあり、水腎症の原因を調べる必要があります。これらの疾患はCTやエコーで腎臓の状態を精査します。また、腎機能の低下が無いか血液検査を行います。

「血液検査でPSA(前立腺特異抗原)の値が異常値だった」

前立腺がん,前立腺肥大症,前立腺炎など

 PSAは「Prostate Specific Antigen(前立腺特異抗原)」の略で、前立腺がんや前立腺肥大、前立腺炎などの疾患で上昇します。4.0ng/mL以下が正常値とされていますが、正常範囲内であっても値の上昇傾向がある場合は注意が必要です。現在、前立腺がんが発見される契機としては、排尿の問題や血尿などの症状が無いにもかかわらずPSA値が高い事だけで発見される方が多くなっています。

 前立腺がんの診断にはエコーや直腸診(直腸内指診)も有用です。エコーは前立腺の大きさやがんを疑う部分があるかを検査することができます。直腸診は肛門から直腸へ指を入れて前立腺を触診する方法で、前立腺の大きさや前立腺がんの広がりを調べることができます。これらはPSA採血と組み合わせて行うことで、前立腺がんの診断の精度を上げることがですます。またCT検査やレントゲン検査、MRI検査などを追加することもあります。

 これらの検査にて前立腺がんの疑いが強まった場合には、前立腺の組織を採取して顕微鏡でがん細胞の有無を調べる「前立腺針生検」が必要です。前立腺針生検でがんが発見されれば確定診断となりますが、がんが発見されなくてもPSA値が高い方はその後も定期的な経過観察が必要です。

「血液検査で尿酸値が高かった」

高尿酸血症(痛風)

 尿酸値が高値であると「高尿酸血症」といい、一般的には「痛風」と呼ばれています。有名な症状は、足の親指の関節炎を起こし激痛を起こす「痛風発作」ですが、高尿酸血症は高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病や慢性腎臓病を合併しやすく、これらの疾患と密接に関係しています。尿酸値が7.0mg/dLを超えると「高尿酸血症」といい、注意が必要です。また、血尿があるなど尿管結石も疑われる場合には、CTなどで結石がないか調べる必要があります。

 尿酸値を下げるためには、生活習慣の改善とお薬による治療があります。生活習慣の改善では、毎日の食事全体のカロリーを抑え、バランスのいい食事を心がけ、プリン体を多く含む食品は控えるようにします。尿酸値を下げる薬は継続的に飲む必要がありますが、尿酸値が6.0mg/dL以下になることを目標としてお薬を調節していきます。